日本人の4人に1人が75歳以上になる2025年問題を、整骨院・鍼灸院の個人経営者の立場から考える。
2025年問題がずいぶん前からささやかれています。
9年後の2025年に、日本人の4人に1人が後期高齢者(75歳以上)になるという問題です。
この問題は、ボクらの業界にとって、さらりと流せる話ではありません。
なぜなら、ボクらの職業は「医療費」と大きく関わりがあるからです。
【自費診療をおこなう整骨院が激増する】
20歳代、30歳代の方たちにとっては、医療費ってあまり気にしていないことだと思います。
ケガをしたり、大きな病気をしたりすることもそう多くはないでしょうから。
ですが、40代、50代、60代と年齢が上がっていくにつれ、段々と医療に携わる機会が増えてきます。
薬をもらったり、点滴を打ってもらったり、入院をしたり。
そして70代になると、その機会はもっと増えてきます。
実際に、生涯医療費の約半分は、70歳以降に掛かるとも言われています。
現行の保険制度では、70歳以上の方は2割負担、75歳以上の方は1割負担で医療のサービスを受けられます。
言い換えれば、残りの8割、9割は医療費からまかなわれているということです。
2025年には、75歳以上の方が2200万人程になると予想されています。
その頃には、現行の2割負担、1割負担というのはおそらくもっと引き上げられるはずです。
そうでなければ、医療費が莫大になりすぎて成り立たなくなってしまいます。
そうなると、今まで気軽に通えていた病院や整骨院が、少し通いづらいものになります。
どのぐらいの金額になるかはわかりませんが、今よりも金額が高くなるのは明らかです。
そうすると、毎日日課のように、整骨院に通っていた方が通えなくなってきます。
それが一人だけじゃなく、75歳以上の全ての方がそういう状態になってきます。
整骨院側の立場から見れば、段々と経営が成り立たなくなってきますよね。
それにその時には、今以上に整骨院の不正請求は厳しくなっているはずですから。
そうした時に、保険を撤廃して自費診療にするところが必ず増えてきます。
ボクの治療院でも、今年の9月1日より自費診療のみの鍼灸院へ移行しました。
ボクの場合はさまざまな想いがありましたが、この2025年問題ももちろん頭に入れながらの決断でした。そういう決断をするところが増えてくるはずです。
【資金力のある大手に対抗するには】
そうした時に、資金力のある大手のグループ企業は強いです。
駅から近い所に、最新の設備や環境を整え、たくさんのお金を掛けて広告を出し、たくさんのスタッフを雇って、治療院を運営するはずです。
設備や環境だけなら勝てるはずがありません。
もしかしたら、高いお金を払って外部から講師を招き、技術や知識も付けていくかもしれません。
そして、スタッフさんの稼働率を上げて、個人のお店よりも治療費をかなり安くするかもしれません。
立地も、設備も、価格も全て勝てません。
だからといって、みすみす潰れていくわけにはいきませんよね。
では、クイックマッサージ店のように価格を下げて深夜まで働くのでしょうか。
年齢のこと、家族のこと、カラダのことを考えるとそんな無茶はできません。
その答えとしてボクが思うのは、自分のこと、自分が作り出す治療院の雰囲気や良さを知ってもらうことだと思うんです。
業種は違いますが、酒屋さんの業界も何年か前に規制緩和があり、どこでもお酒を買えるようになりました。
その影響を受けて、町の酒屋さんがたくさん潰れていきました。
でもその中で、お店を畳まずに今も運営されているところってありますよね。
お手本はそこだと思うんです。
あの人だから買いたい、どうせ買うなら高いけどあそこで買おうかな、そんな風に思ってもらって買ってもらっているはずなんです。
もちろん、スーパーで買った方が安いんですけどね。
でも関係性が出来ていると、そこにお店の人の顔が浮かんでくるんです。
あっ、やっぱりあの人のとこで買おうって。
その点、スーパーやコンビニなんかは違いますよね。
特別な関係性はありません。
それはボクらの業界でも同じだと思うんです。
自分のことを知ってもらい、治療院に来てもらう。
患者さんの話に耳を傾け、少しでも元気になってもえるように何が出来るのかを考え、行動していく。
選んで来て頂いた方を心から大切にすること。
大手のところには出来ない、個人だからこそ出来ることってあるはずです。
9月から自費診療をおこなうようになり、来院される患者さんの人数は減りました。
それはごく当然のことだと思っていたので何にも驚きはありません。
ですが、予想していた以上に来て下さる方が多くおられました。
「先生以外の人にカラダを預けるのはイヤなんです。」って言って下さる方も中にはおられました。
でもそう思って頂けたのは、治療技術が良いからとかではないと思います。
きっと、さっきの酒屋さんの例と同じだと思います。
2025年問題は、そう遠くない未来まで迫ってきています。
そんな中でボクたち個人経営の小さなお店が生き残っていくためには、毎日コツコツと色んな情報を発信して自分のことを知ってもらう、そして、一人一人の患者さんを大切にしていく。
シンプルなことですが、これしないと思います。
遠くてもボクのところに行きたいって言ってもらえるように、これからも前へ進んでいきたいと思います。
長くなりましたが、本日は以上です!
最後までありがとうございました!
それではまた~♪