星野仙一監督が選んだ金本知憲選手と、金本知憲監督が選んだ糸井嘉男選手とを重ね合わせたFA補強。
こんにちは!城東区・段上はり灸整骨院院長の段上 功(だんじょう いさお)です^^
オリックス・糸井嘉男選手が、阪神タイガースへの入団を決意したと報道がありました。
打って走って守れるスタープレイヤーの加入は、チームにとっては大きな戦力アップに繋がるはずです。
ですが、阪神ファンの間では、それを良く思わない方が多いのもまた事実。
なぜなら若手のポジションが一つ減ってしまうから。
「超変革」を掲げて挑んだ2016年シーズンは、若手を積極的に起用していきました。
その結果、北條・高山・原口・中谷・横田・岩貞・青柳などの選手がチカラを付け、来季以降が楽しみになるほどの活躍を見せてくれました。
そんな中、FAでオリックス・糸井選手を4年総額18億円にも上る契約で獲得。
まだまだバリバリ動けるカラダであることは間違いないですが、それでも年齢は35歳。
これから阪神タイガースを担っていく若手選手の出場機会を減らしてまで獲得するべきなのか。
誰もがきっとそんな風に感じていると思います。
ただ個人的には賛成なんです。
なぜなら、これから先の強いチームの形成に、非常に重要なピースだと思うからです。
そして、この決断には、球団の方針もあるとは思いますが、金本監督自身の強い感情が込められているように感じてならないんです。
【同時期にFA宣言をした自分と重ね合わせる金本監督】
34歳でFA宣言。
悩んだ末、阪神タイガースに入団。
入団一年目から3番に座り、フォア・ザ・チームに徹し、阪神タイガースの18年ぶりのリーグ優勝に貢献。
また当時若手であった赤星・藤本・鳥谷選手などを自らの背中で引っ張り、2年後の2005年にも優勝を届けた選手・金本知憲。
2002年から就任した星野仙一監督は、野村克也前監督が掲げていた「弱者が強者に勝つ野球」から「弱者を強者にする野球」を実践しようと試みました。
そのために必要なものは「①心②技③体」という順番ではなく「①体②心③技」なのだと、著書「夢~命を懸けたⅤ達成への647日~」に書いてありました。
カンタンに言えば、頭で考える野球からカラダで覚えていく野球へのスタイル変更が必要だと。
チームをそういう風に変えていくために「走攻守」三拍子揃った金本知憲選手を獲得したのだそう。
きっとその姿がチームの中にさまざまな相乗効果をもたらせてくれると信じて。
そして実際に、チームは2003年・2005年とリーグ優勝を果たし、またその後もAクラスを常に争う常勝軍団へと変貌していきました。
若手が躍動した2016年、その一年間の指揮を執った金本監督は、今以上に若手が躍動するために、当時の選手・金本知憲のような背中で見せられるプレイヤーの必要性を感じたのではないでしょうか。
その姿を、現役当時の金本監督と同じく若い頃からハードなトレーニングをおこない、35歳である今期もキャリアハイの53盗塁を記録した選手・糸井嘉男に重ね、その想いを託したのではないかと思えてしかたがないんです。
金本選手の著書「覚悟のすすめ」にも書かれてありましたが、移籍を決めた選手・金本知憲は「成績は普通でいい。でも、そのなかで中身の濃い、たとえば決勝タイムリーとか逆転ホームランのような、自分が打って試合を決めるというのを10試合は作ろう。」
そして、「年間を通じて、負けゲームを10試合くらい勝ちゲームに変えよう。」と考えていたそうです。
それが、自分が果たすべき役割であり、責任であると認識していたと。
同じように阪神入団を決意した糸井選手に向けても「一人で10試合の勝ち試合を作り「20」の貯金を作ってほしい」とコメントを残しました。
その発言から見ても、自分の現役時代の状況と重ね合わせ、託した補強なのは間違いありません。
あとは、糸井選手がその期待に応えてどれだけの活躍をし、阪神の若手選手がどれだけ多くのことを学べるか、そこに懸かっていると思います。
FA移籍初年度は、140試合フルイニング出場、打率.289、本塁打19、打点77、盗塁18、そして優勝を手にした選手・金本知憲。
金本監督がその想いを託した糸井嘉男選手がどんな活躍を見せるのか、今から楽しみでしかたありません。