ファンの後押しと、背中で魅せる二人のベテランが生んだ広島東洋カープ25年ぶりのセ・リーグ優勝。
【広島東洋カープ25年ぶりの優勝】
広島の「マジック1」で迎えた大一番。
負け以外で優勝が決まる2位巨人との直接対決。
そのマウンドを任されたのは、優勝をするために日本へ帰ってきた漢・黒田投手。
序盤から2点のリードを許すも、今年の広島はこれぐらいでは引かない。
すぐに、神ってる男・鈴木選手、松山選手の連続ホームランで逆転。
そして鈴木選手の2打席連続ホームランで一気に突き放す。
「逆転の広島」は、この大事な一戦でも変わらない。
着実に追加点を重ね、最後は守護神・中崎投手。
魂のこもった153キロのストレートを投げ込み、最後は亀井選手をショートゴロに打ち取りゲームセット。
9月10日(土)、広島東洋カープが25年ぶり7回目のセ・リーグの優勝を決めました。
【優勝の原動力は2つのチカラ】
こんにちは!評論家でもないのに野球のことを熱く語ってしまう、城東区・段上はり灸整骨院院長の段上 功です^^
長きに渡ってチームのエースを務めた前田健太投手が抜けた今季、広島を優勝チームに挙げた野球評論家がどこにいたでしょうか。
きっと居なかったですよね。
それぐらいエースが抜けた穴は大きいものです。
ですが、そんな周囲の予想を大きく覆し、2位巨人を圧倒的に引き離しての優勝。
チームの大黒柱が抜けてなお、このような成績を上げることが出来たのか。
ボクが思う部分はこの2つ。
ファンの後押しと、ベテラン二人の姿勢です。
【ファンが試合を支配したホームゲーム】
今年の広島の戦いを見ていて最も感じたのは、ホームゲームでの圧倒的な強さ。
敵地では31勝24敗1分の勝率.564なのに対し、本拠地では57試合40勝17敗の勝率.702。
これは、それだけファンの声援が選手の後押しになったことを示しているのではないでしょうか。
本拠地での成績が50勝20敗の勝率.714だった2003年の阪神タイガースも、甲子園での熱狂的な応援で相手を支配していたのを今でも鮮明に覚えています。
今年のマツダスタジアムでの応援は、その当時の甲子園の応援に匹敵していると思います。いや、もしかしたらそれ以上かもしれません。
この流れを作ったのは他でもなく、広島球団。
そんな風にボクは思います。
「球場に何度も足を運びたい」と思ってもらえるようにと計画されたマツダスタジアム。
その席数は全部で34種類。
カップルでひっそりと楽しめるものから、大人数でワイワイ楽しむものまで様々です。
お年寄りも、小さなこどもさん連れのお父さんお母さんも、若い女性も、全体の席数を減らしてでも、全ての方が快適に野球を楽しめる環境を優先した球団の方針が功を奏し、実際に何度も球場に足を運ぶ方が増えたそうです。
そう考えると、近年浸透してきた「カープ女子」なるものは、球団にとってはもうすでに先が見えていたのではないかとボクは感じています。
だからこそ、先を見据えた球団経営が、今回のこの本拠地での圧倒的な勝率に繋がったと、そう思えずにはいられません。
【背中で魅せる2人のベテラン選手】
チームでの打率、本塁打、得点、盗塁、防御率の全ての部門でセ・リーグ1位。
誰が見ても優勝チームにふさわしいだけの成績でした。
ただ、その中で20勝近くするような投手も居なければ、40本を打つような打者も居ない。
どの選手も非常に良い成績を残しているのですが、優勝したチームによくある誰よりも飛びぬけた成績を残した選手は、今年の広島には居ないように感じます。
でも、逆に言い換えれば、非常にバランスの取れたチームだと思います。
その中でも今年は特に、田中・菊池・丸・鈴木選手など、若い選手が自信を持って伸び伸びとプレーをしているように感じました。
広島というチームは伝統的に若手育成が上手です。
若い選手を地道に育て、数年後にはチームの主軸に据える。
育った選手がFAで他球団へ移籍しても、また次の選手を育成する。
打って走って守れる、躍動感のある選手が次々出てくるそんな印象です。
でも今まで大きく違うのは、そこにベテランの力がプラスされていること。
昨年チームに帰ってきた新井・黒田両選手の力がやはり大きいのではないでしょうか。
「逆転の広島」と評されるように、今年の広島はどんなに負けていようが逆転する雰囲気がチームにありました。
その雰囲気を作ったのは紛れもなく新井選手。
負けていても常に若手よりも大きな声を出しているそうです。
「新井さんがあれだけやっているなら、ボクたちもやろう!」
そんな風に感じているといいます。
一方の黒田投手は、気迫も全面に押し出しながらも、冷静に試合を作ります。
先発投手として、チームに勝利をもたらすために自分が出来ることを徹底してやっているイメージです。
その姿がやはり後輩投手に伝わっているのではないでしょうか。
特に今期、急激に飛躍した野村祐輔投手。
元々素晴らしい投手でしたが、今年は大きく変わりました。
特に変わったのがメンタル面だそうです。
黒田投手の姿を見て何かを感じ、「調子が良くても悪くても、いつも同じ気持ちでマウンドに上がれるようになった。」とのこと。
それから「間」が取れるようになり、自分の投球が出来るようになったといいます。
チームとしては全体的に若い選手が多いです。
若い選手が多いチームの特徴としては、勢いがつくと止まらない反面、負けが込むと一気に失速してしまうような、そんなところがあります。
ですが、今年の広島に限ってはそれがありませんでした。
その最たる要因は、二人のベテランの姿だったのではないでしょうか。
元々選手育成に定評のあった広島が、この二人のベテランをもう一度チームへ引き戻したこと、そして、期待通り若手の指標になったこと。
ファンの後押しと、背中で魅せるベテラン二人の姿勢が、今回の優勝で最も大きな要因だったんじゃないかと思います。
黒田投手と新井選手が涙を流して抱き合う姿、若手選手が二人のベテランを胴上げする姿、本当に良かったですね。
鈴木選手を筆頭に、広島の若手選手はまだまだ成長しています。
今のこの循環が続く限り、広島の勢いは当分止まらないかもしれません。
まだシーズンも残っており、クライマックスシリーズ、日本シリーズと続きますが、どんな戦いをするのか、どういう成長を見せるのか今から楽しみで仕方ありません。