結果を出せるのは、変化を柔軟に受け入れられたから。
9回ウラ、鳥谷のボテボテの内野安打で同点に追いついた直後、
勢いそのままに、続く7番西岡が値千金となるサヨナラタイムリー。
宿敵・巨人を抜き、単独首位に躍り出た阪神。
今年のここまでの戦いを見て、そして、昨日の試合を見て、
ひょっとすると、このまま阪神が抜け出すのではないか、
そんな風に感じさせてくれる試合内容であった。
【超変革を最も体現する男】
超変革を掲げるチームのスローガン同様、
本当に変化することを体現する監督と選手。
その選手の中でも最もその気持ちを強く持ち、プレーをおこなう選手がいる。
それが、昨日のヒーロー・西岡剛である。
過去2年間、本当にケガに悩まされた。
胸部打撲、鼻骨骨折、右ひじ手術・・・。
本人も周囲に「辞めたい」と漏らすほど辛い2年間を過ごしてきた。
そんな時に就任した金本新監督。
現役時代、骨折していても試合に出続けたというのは、
野球を知らない方でも知っている話であろう。
そんな新監督が、彼にどんな言葉を掛けたのかはわからない。
だが、明らかに姿勢が変わった。態度が変わった。
姿勢・態度が変わり、結果もついてきた。
セカンドのポジション争いに勝ち、開幕からスタメンを守り続けている。
そんな西岡が、9回の打席で放ったサヨナラヒット。
キレイなヒットではあったが、そのスイング自体に、どこか違和感を覚えた。
翌日の新聞に、その答えが書いてあった。
金本監督の言葉、
「チーム全体が(ボールに)差し込まれ気味。タイミングを早く取れ。」
と、指示を出した。
しかし、そんな話とは裏腹に、2球で追い込まれる。
「人の話を聞いてんのか、と思ったけど。最後は経験を生かしたね。」
と、金本監督がいう「最後」がボクの感じた違和感だった。
追い込まれた西岡は、タイミングが合っていないと感じ、
ステップをしない、ノーステップ打法に切り替えてヒットを放った。
打ち方を変えたという事。それがボクが覚えた違和感だった。
やり続けてきた事をリセットし、やり方を変えることはカンタンな事ではない。
これは何も野球だけに限った話ではなく、仕事や趣味でもそうである。
人から教わったもの、自分で見つけたこと、そういうことを状況に応じて変化させる。
柔軟に体現することが出来たからこそ、チームの勝利を呼び込む事ができたのではないだろうか。
奇しくも、金本阪神の象徴・横田を外し、2番に据えた江越が先制のホームラン。
上手くいっていた1・2番を崩す勇気は、相当必要だったはず。
それにもかかわらず、変化を決断し、選手が結果を残す。
昨日の試合に、金本阪神が提唱する野球の根幹が、少し感じられたような気がする。